富裕層の悪平等主義

月末に健康保険料が5万9000円も引き落とされているのですが、ここ数年 風邪ひとつひいた事が無く、病院になんて全く行ってません・・・。
何故、こんなに支払わなければならないのでしょうか?
週に一度は運動をして、酒もタバコもしないし、食事のカロリーと栄養バランスに常に気を使っています。
先日、子供が風邪をひいたので病院に行き、薬局で薬をもらおうと待っていたら、壁に ニコチンパッチが保険適用と掲示されていました。
仕事で夜遅く帰宅する時は、電車の中はアルコールの臭いで充満しています。
何故、健康管理のできない人達の為に、私はこんな高額な保険料を支払わなければならないのでしょうか?
納得がいきません...

http://q.hatena.ne.jp/1267297161 

 記事の人は、年収数千万の富裕層に該当する人らしいが、つくづく思うのは日本の企業家や富裕層には「泣き言」や「苦労話」がやたらに多いことだ。年収数千万もある人なら、もっと明るく前向きな話にエネルギーを振り向けてよさそうなのに、普通のパート主婦のようなレベルの問題に一生懸命頭を悩ませているのだから、驚きあきれるしかない。

 ベンチャー企業にもっと開放的な社会になるべきだという声は多いし、まったくその通りだとは思う。しかし個人的な印象では、ベンチャー企業家たちから語られるものに、明るさや楽しさをまったく感じない。ギラギラした顔つきで、リスクを恐れるなとか、自分を変革しろとか、なんだか説教じみた言い方が多すぎる。だからベンチャー企業家には、野球部の監督や軍事教練の教官に近い雰囲気を感じる*1。そして、何かというと日本社会の無理解に対する泣き言がでてくる。どう見ても、彼らみたいになりたいとか、彼らが活躍する社会であってほしいとか、そういう気が全くおこらない。

 堀江貴文にいいところがあったとしたら、彼には明るさや楽しさがあったところだろう。内容は薄っぺらだったとは言え、前向きな夢を積極的に語っていた。しかし、こういう人物は日本では圧倒的に少数派である。

 そして、現状のベンチャー企業に批判的なのは、労働環境が既存の大企業よりはるかに「ブラック」なことが多いことである。「チャレンジすると怒られるでしょ。超怖い」など発言したベンチャー企業家がいたらしいが*2、足元で似たようなことをやっていないかどうか、少なくとも仲間のベンチャー企業にいないかどうか、少し反省してみたらどうだろうかと言いたくはなる。実際、「ブラック企業」としてネット上で槍玉にあがる企業の大半は、90年代半ば以降に急成長したものばかりであり、労働者が既存の大企業より「豊か」で「楽しい」生活を送っていないという現実がある以上、そうした企業が社会的に支持されるわけがない。

 日本は「悪平等社会」と呼ばれることがあるが、個人的にそれをもっとも感じるのは、ベンチャー企業家を含めた経済界の人たちの発言である。階級格差が伝統的に強いヨーロッパでは「ノブレス・オブリージュ」があり、北米では成功した富裕層が財団をつくって寄付やボランティア活動などに回るが、日本の富裕層はそのいずれでもなく、むしろ「国民はぬるま湯につかってないで自分のように国際競争の最前線で戦うべきだ」みたいな「悪平等主義」を振りかざしてしまう。こういう精神構造が変わらない限り、日本でベンチャー企業が活性化することは絶対にありえないと考える。

*1:狭義のベンチャー企業家ではないかもしれないが、城繁幸氏などがそうした「体育会系」の雰囲気の典型的な人である。

*2:http://stockkabusiki.blog90.fc2.com/blog-entry-1042.html