財政危機ナショナリズム

 民主党の(まあ「社会主義」とは程遠い)分配政策が「バラマキ」と批判される一方で、メディアではにわかに「消費税増税は避けられない」という空気が強まっている。

 私自身、最低でも消費税は15%に引き上げるべきだという考えだが、「財政が厳しいので」「赤字国債はこれ以上増やせないので」増税という主張は全面的に反対である。増税するのは、医療・介護・年金・教育・失業対策など、民間企業が担うことが難しく、政府が直接担うべき分野への分配を増やし、社会全体のリスクと負担を減らすためであって、「財政が厳しいので」増税というのは言語道断である。人々の生活を楽にしない増税は、どんな理由であれ正当化してはいけない。

 それにしても最近不可解なのは、「国の財政が厳しいのに官僚はけしからん」という類の、「財政危機ナショナリズム」の横行である。本当に国の財政が危機なのかどうかはともかくとして*1、「財政危機」の名の下に一定の政策に誘導しようとして、それに反対すると「非国民」であるかのような雰囲気をメディアで作り出している人々には、正直言って危険なものを感じる。

*1:個人的には否定的な意見のほうにセ説得力があると考えている。