2010-01-01から1年間の記事一覧

信頼できる専門家

自分が信頼できる専門家というのは、その議論において「誠実」で「良識」のある人である。素朴なことを言っているようだが、これは極めて本質的なことで、自分も素人なりに金融政策や年金制度などに関する本を読んだりはしているが、結局のところよくわかっ…

誰も代表できていない

前回のエントリは、ややもすると国民の政治的見識の低さを嘆くようなものに受け取られがちだが、そうでは断じてなく、あくまで国民が自分で何を選択しているのかわからなくなっているような、政治的な状況を問題にしたものである。 たとえば、いま日本の世論…

もはや「民主主義」とは言えない

本社・FNN合同世論調査 「早期に招致を」7割 内閣支持率23%産経新聞 12月14日(火)7時56分配信 産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が11、12両日に実施した合同世論調査で、民主党の小沢一郎元代表の国会招致について「早期に実現すべ…

雇用をつくる

金融政策と雇用の問題は慎重に分けて考えるべき、ということの追記のようなもの。 経済成長で雇用が増えるというのは、必ずしも単純な関係ではない。もちろん、仕事が増える、企業に雇用の余裕が生まれることは間違いないが、一方で社会全体の生産の効率性が…

子供に持たせてはいけない刃物

どうも、日銀が金融政策を本気になって採用すれば、円高不況も、赤字国債の解消も、失業問題や社会保障財政もいっぺんに解決可能になるかのような物言いがしばしばある。半分くらいはその通りと思いつつ、またあえて挑発的に言っていることも理解しているつ…

政治家の言葉は軽くなったのか

「失言」問題というと、一昔前は憲法問題や歴史問題に関わるものが多かった気がするが、そのときも正直「騒ぎすぎ」と思っていたが、すくなくとも日本という国家の価値とはどうあるべきかという、それなりに重いテーマに関わるものであったような気がする。…

見ていて冷や汗が出てくる

仙谷氏「暴力装置」発言 謝罪・撤回したものの…社会主義夢見た過去、本質あらわにhttp://sankei.jp.msn.com/politics/policy/101118/plc1011182236025-n1.htm 「昔の左翼時代のDNAが、図らずも明らかになっちゃった」 みんなの党の渡辺喜美代表は18日、…

政治家目線

同じことばかり書いて恐縮だけど、馬鹿と思われるのを覚悟で書くと、政治家にダメ出しをするときには、自分に「じゃあ、お前はできるのか」という突っ込みを常に入れなければダメだと思う。 ほとんどの人は、自分がその場に絶対に立たないことを前提にして政…

愚痴

今の日本の政治が末期症状なのは、民主党政権自体というよりも、「頼りがある」とかないとか自体が問題になっていることである。この20年「頼りがある」という雰囲気を醸し出していた首相は、小泉純一郎ただ一人であるが、じゃあ小泉政治が良かったのかとい…

「頼りがない」くらいは普通に受け入れるべき

小泉政権以降、安倍政権から鳩山政権に至るまで、どの政権も「頼りがない」と批判の大合唱を浴びてきた。そうした批判の声を受けて、1年ごとに総理大臣が変わってきた。そして、変わるごとに「頼りがない」という声はますますひどくなり、現在まさに極点に達…

市場について

自分は市場という制度が基本的に好きである。特に、「社会主義」的なものが知的世界に色濃く残っていた90年代半ばくらいまでは、(無知ということもあって)素朴に「市場原理主義」的な考え方をしていたところがあったように思う。 その考えが変わったのは、…

まず若い世代の教育・福祉を

メディア的には昨年ほど盛り上がっていない「事業仕分け」だが、聞こえてくる話はますますひどくなっていると思わざるを得ない。 緊急性の高い高齢者福祉の予算を確保するために、緊急性の低い(と思われている)若い世代の教育・雇用関連の予算を削る、その…

自分の肉を食らって生き延びようとするかのようなやり方

事業仕分け第3弾前半戦 ジョブ・カード事業廃止など制度自体のあり方見直す判定相次ぐ http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00186871.html 政府の行政刷新会議による事業仕分け第3弾の前半戦が、国の特別会計を対象に始まり、「貿易再保険…

過剰に年金問題に関心を持ち過ぎ

これも何度も書いていることだけど、年金問題を年金の細かな仕組みをいじくって解決してもさほど意味がない。これは強調してもし過ぎることはない。 年金制度の健全さや持続可能性は、経済成長と雇用水準、出生率などなどに全面的に依存している。今の年金制…

同じことしか書いていないが

いつも同じことしか書いていないが、国民の基本的生存に関する部分は政府が引き受けるべきであり、精神的な満足や快楽追及に関する部分は民間にゆだねるべきである。ところが日本では、民間に福祉を委ねておきながら「貧しい人たちを食い物にしている」と非…

前々回の追記

前々回の追記として。 少なくとも、現在の失業・過労・貧困・貧困ビジネス・介護心中・孤独死などなどの問題をどう解決するかという視点に立てば、公務員を減らすべきだなどという結論には絶対にならないはず、というのが今の自分の考えである。 繰り返すよ…

自分が甘いのだろうか

菅直人の評価について、思想的・政治的な立ち位置という以前に、その人の関心領域・専門分野によって分かれているような気がする。経済学系の人や軍事・外交系の人には、ほとんど右から左まで「馬鹿」「無能」扱いだが、政治学系・社会学系の人には妙に好意…

どうなったらひっくり返るのか

図録▽OECD諸国の給与水準 社会実情データ図録 はてなブックマークhttp://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/5193a.html 公務員に関するデータを見せると、やはりというか、「でも一人当たりが」「独法などが」「天下りの問題が」などと、屁理屈をつけて反発する人…

ますますわからなくなってくる

「腐敗認識指数」は、以前も存在は知っていたが、どうも怪しい感じで、あまり興味をもてなかった。しかし、あらためて眺めてみると、データが必ずしも客観的とはいえないことを踏まえれば、なかなか面白いような気がしてきた。 特に目に付くのは、人口規模と…

使えるものは使えばいいというだけの話

ときどき、「消費税増税はショックで自殺者を出す」みたいな意見を見るのだが、それは金融政策も同じではないだろうか。仕事の激増に対して賃金上げや人員増が追いつかず、少なくとも短期的には過労死・過労自殺を増やす可能性が高いし*1、少ない年金と預金…

福祉と経済成長

福祉は経済成長を阻害するかのような一部の暴論はともかく、「経済成長があってこその福祉」という言い方はより一般的にあるが、いずれにしても福祉と経済成長をトレードオフにしている点で適切なものではない。 失業保険や職業訓練などの現役労働者向けの福…

いまだによく理解できていない

この数年「地方分権」や「地域主権」の話が盛んだが、自分はその国が地方分権的な体制を選択するかどうかは、その国の「国情」によるとしか言いようがないと考えている。ドイツや北欧、アメリカなどが地方分権的な体制であるのは、これらの国の歴史的な成り…

煙草を吸う人には優しくするべき

駆け込み需要、最終盤=たばこ値上げまで1週間―コンビニなど 2010年9月23日(木)16:03 http://news.goo.ne.jp/article/jiji/business/jiji-100923X554.html 10月1日のたばこ増税が1週間後に迫った。コンビニエンスストアなどでは駆け込み需要への対応…

全共闘とブラック企業

全共闘、港湾労働、そして牛丼 小川社長インタビュー[1]発想の原点「資本主義のもとで貧困をなくす」 http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20100917/216295/ 前にネット上で批判された「餃子の王将」の研修風景が、全共闘の「自己批判」大会と…

ベーシック・インカム論の堕落

最近ベーシック・インカム(BI)の議論を目にすることが多くなったが、それ自体はいいことではあると思う一方で、びっくりするのは普通の「政策提言」として語る人が増え始めたことである。 そもそも自分が知り始めた頃のBIの議論の主題は、「人は生きて…

政治家のリーダーシップ

最近、政治家に対して投げかけられる批判として、「リーダーシップがない」「頼りがない」というものが多くなっている。 しかし、それ自体はその通りだとして、そんなことを言ってもしょうがないのではないか、という気持ちが自分の中にはある。20年以上政治…

「再分配のパラドクス」について

財政学者の神野直彦氏の「再分配のパラドクス」について、分かりやすい解説を見つけたので備忘録として引用しておく。 再分配のパラドックス ― 博多連々(はかたつれづれ) http://ryuseisya.cocolog-nifty.com/hakata/2010/08/post-da12.html 本当に支援が…

じゃあ、お前はできるのか

今の民主党代表選とは直接関係がないが、色々政治家に対する批判を聞いてて思うのは、「じゃあ、お前はできるのか」ということを、もう少し反省してもいいのではないか、ということである。 もちろん、政治家は批判されるのも仕事の一つではあろうが、批判す…

もっと割り切った態度がとれないものか

よく左派系の社会学者や政治学者は、市場の役割を重視する経済学者を「市場がすべてを解決してくれると信じている」「市場原理主義」と批判するが、言うまでもなくこれは正当な批判ではない。経済学者は市場が万能薬だと言っているのではなく、財の分配を市…

大異を捨てて小同につく

税制とか金融政策とかのテーマで、政治家が専門家を交えながら超党派で研究し、合意を形成するというのは必要だとして、消費税や金融政策が政治的な争点になるというのは、明らかに健全ではない。 消費税増税に賛成する人といっても、法人税減税の代替として…