「不幸の横並び」への欲求

“24時間営業”望むのは「電車」がダントツ、「空港」は圏外に


24時間営業を望まれている施設は、10代から40代までの世代別、そして男女別でもダントツで【鉄道(電車)】。その理由は「終電は仕事、遊びを限定するから」(兵庫県/40代/男性)と、帰宅時間を制限されたくないという意見が圧倒的。「空港24時間化への受け皿のほかにも、ライフスタイルや労働環境の変化を考えてほしい」(兵庫県/30代/男性)と改善が熱望されている。

 続いて「普通の仕事をしている人間には、不都合きまわりない営業時間を改善するべき」(愛知県/30代/女性)と【役所(区役所・市役所)】が2位に。同様の理由で【銀行】も3位に登場し、平日の昼間になかなか自由な時間をとれない会社勤めの人々から、その稼動時間への不満が集中した。

 そして4位には【病院】。「救急車のたらい回しなどが問題になっている今の時代なので。緊急時に開院している病院を探さなくても、かかりつけの病院に行ければありがたい」(千葉県/30代/女性)、「夜中に子供が熱を出すことが多いから」(兵庫県/40代/女性)と、医療現場が抱える“救急患者の受入れ”の問題を踏まえた声も挙がっている。上位のランキング結果を見ると、より日常生活に密な関わりを持つ施設に対して“24時間化”を望んでいることわかる。


http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091110-00000015-oric-ent


 最初に自分の意見を言うと、24時間営業など絶対に必要ない。とくに役所や銀行が24時間営業化にすることは、徹頭徹尾かつ断固として反対したい。

 当たり前だが、根本問題は役所や銀行にいく必要がどうしてもあるときに、ちょっと仕事を抜けることが許されていないとか、理不尽な長時間労働を課せられている(あるいはそうしないと生活できない)とか、等々の劣悪な労働環境にある。24時間営業が一般化すれば、この問題はひとつも改善されることなく先送りされることになるし、むしろかえって悪化することが普通に予想される。メディアはそういう健全な方向に誘導することが役割のはずなのに、この記事では逆に24時間営業化を煽っている。

 24時間営業が増えれば増えるほど、人々のライフスタイルも、ますます24時間営業的なものになってくる。自分自身もそうだが、深夜に開いているコンビニやスーパーが家の半径2km以内になければ、もはや生活する上で圧倒的に「不便」である。買い物は夕方までに済ませておく、店は7時までにほとんど閉まってしまうということは、一世代前には不便でも何でもなかった「当たり前」のものだったはずだが、今はそれがほとんど想像不可能なものになっている。結果として、サービスに対する期待値があまりに高くなりすぎてしまい、少々のサービスでは幸福感や満足感を得られなくなっている。ここまで進んだ以上は簡単には引き返せないとしても、これ以上期待値を高めてもむしろ不幸にしかならないことに、そろそろ気がつくべきだろう。

 それにしても不思議なのは、この記事に対するコメントなどを見ても、回答者が自分を徹底して「サービスを受ける側」だとしか思っておらず、自らもサービスを提供する労働者の側になり得るということを、まったく想定していないことである。つまり、自分が公務員だったら24時間営業は嫌だなとか、人件費をこれ以上に増やせないとしたら地獄のような長時間労働が待っているなとかといった、当たり前の想像力を働かせようともしないのである。そもそも、24時間営業のコンビニの労働環境が劣悪であることは周知のはずなのに、日本社会全体をそれに染め上げようというのだから、まったく狂っているとしか言いようがない。

 あるいは想像力の欠如というより、この記事に批判的にコメントしている「クソ仕事」さんが言うように、日本人的な横並び意識の歪んだ姿なのかもしれない。

24時間営業で首の締め合いが激化w。 ニートの海外就職日記


 こういうニュースを読むと、この社会はもう何かが根っこから決定的に間違ってるとしか思えんな。自分らがクソ労働環境での我慢大会から抜け出せないからって、役所も銀行も我慢大会に参入wして遅くまで開けろ、24時間営業にしろ、土日も働けって。。。どうしても不幸の横並びを強要したいようだなw。「俺たちの負荷を減らせ」ではなく「あいつらの負荷を増やせ」。「俺たちの休みを増やせ」ではなく「あいつらの休みを減らせ」みたいなww。

http://kusoshigoto.blog121.fc2.com/blog-entry-314.html

 この「不幸の横並び」への欲求というものが、単なる日本人論で済めばよいのだろうが、「小泉改革」への熱狂的支持とか、現在の「事業仕分け」とか、違法で劣悪な労働環境の放置とか、デフレの中でなんとかしようみたいな経済政策とか、そういう不可解で理不尽な政策や社会問題の根っこにあるとすれば深刻である。