外国人地方参政権問題

民団や総連の組織力は壊滅的でしょうね。以前に比べれば。だからこそ少ないパイの奪い合いなんですよ。組織の維持/生き残りに必死になる。年間1万人(ぐらいかな)帰化して、配偶者の8割が日本人である状況を鑑みれば、当然の帰結なんですが。総連つぶしをし、パイを奪い、帰化しなくてもいいという風潮を作れれば民団としても御の字でしょう。
私は悪の組織ニッキョーソ的な観点からではなく、組織の維持/生き残りと韓国にパイプを作りたい民主党の利害が一致したからこその今回の法案審議入りなんじゃないかと思っています。来春は統一地方選挙ですし、いまから法案だしてぎりぎり間に合うかあわないかぐらいでしょう。

http://d.hatena.ne.jp/Prodigal_Son/20100112/1263292736

 世論調査をそのまま代弁したようなマニフェストが多い(割に世論に支持されているわけでもない)民主党の政策の中で、この問題だけは強硬に世論に逆らっている。

 上の文章でも指摘されているとおり、民団が地方参政権を強く主張する背景には、これ以上の帰化の増加を食い止めないと組織の存立そのものが危うくなってしまうので、国籍を保持したままでも日本国民と同等の権利を享受でできれば、帰化へのインセンティヴは減るだろうという思惑がある。そして、その民団の窮状を民主党が支持基盤の拡大に利用しようとして、外国人地方参政権問題が妙に政治的に盛り上がっていると理解したほうがよい*1


 個人的には地方参政権に反対という訳ではないが、本来は在留資格や国籍取得の要件を緩和して、完全なメンバーシップと権利を与える方向に行くべきだと考えている。選挙権は国政も地方も国籍が原則であり、この原則が修正されるのは国民の多数が納得できるような固有の政治的・歴史的な背景がある場合のみである。例えば、EUのような地域連合とか旧植民地・宗主国関係などであり、だから個人的には、かつて「日本国籍者」であった在日韓国・朝鮮人や在日台湾人とその子孫に限っては、地方参政権が付与されるべきだという立場である*2

 反対派の陰謀論は話にならないが、権利を付与することが無条件によいことであるかのような議論も、ちょっと違うのではないかというところもある。権利の拡大のために運動を起こすことも必要だが、選挙権などの権利の線引きをどこに設定するのかを在日外国人に対して明確に示すことのほうが、われわれ「マジョリティ」の責任であるような気もする。

*1:総連の場合は民団との党派的な対抗のほかに、単に「地方参政権の付与は実質上は国政選挙権付与と同じでとんでもない」という日本の右派の議論が裏返っているだけと理解すべきか。

*2:「強制連行」ではないなどと妙な詭弁を弄している人が多いが、日本国籍からの離脱が彼らの意思によるものではないことは明白だろう。