生活を楽にする・豊かにするということ

 「経済成長」で全てが解決するかのような話をあちこちで目にするんだが、素人だから敢えて言わせてもらうが、ときどき「頭は大丈夫か?」と言いたくなる*1

 「経済成長」は生活を楽にする・豊かにするための(絶対不可欠の)手段であって、それ以上のものでは全くない。「経済成長で全てが解決」といっている人には、「楽に」「豊かに」というものの道筋があまり見えてこない。だから、デフレ不況のしわ寄せが若者の雇用に集中していると批判する人が、雇用は規制緩和して競争を活性化すべきだなどと平然と言ったり、草の根で貧困問題を解決しようとしている人たちに批判的な目を向けたりしてしまう。本末転倒とはことのことだろう。

 企業の違法行為は、規制よりも「経済成長」で自然消滅させるのがいいなどという物言いも目立つが、「過労死」の問題がバブル絶頂の時期に起こりはじめたものであることを忘れたのだろうか?結果として、経済と雇用の問題の解決をすべて市場に委ねるという方向を後押ししてしまうのだが、それでもいいのだろうか。

 「財政再建のための増税」を言ってしまう人もそうで、そこには生活を楽にする・豊かにするという素朴な関心がすっかり抜け落ちている。全てではないが、「経済成長」論者にもやや似たものを感じる。

*1:もちろん「もう経済成長の時代ではない」などというナンセンスな議論があることも確かだが、どう見ても社会の多数派とは言えない。