「ひと助け」のできない日本

ひと助け(社会的援助)の国際比較
http://www2.ttcn.ne.jp/~honkawa/2996.html


 ギャラップ社の国際調査により、ボランティア活動や社会的援助についてのOECD諸国、及び中国、インド、ロシアなど非OECD諸国を含む38カ国の国際比較が行われている(データはOECD Factbook 2009による)。ボランティア活動の国際比較は図録3002(予定)に掲げたが、ここでは、困っている見知らぬ人を助けたことがあるかという社会的援助の比率についての国際比較を掲げた。

 日本は見事に最下位となっている。トップはカナダ、2位は米国である。何か日本人は非常に冷たい国民のように感じられて心苦しくなる調査結果である。

 ボランティとか寄付といった無償の援助の話になると、日本はたいてい最下位になる。この記事では、そういう援助なしでも成り立つ社会だからと解説されているが、それも最近は怪しくなっている。むしろ、企業福祉や公共事業などに依存してきた人が、何も社会的な支援のないまま放り出されて途方に暮れるという、そういう悲惨な図式が増えているように思われる。定年退職前後の世代や農村部に自殺が多いというのは、おそらくそうした事態を象徴していると考えられる。

 社会的援助の弱さそれ自体は「文化」としか言いようないところもあり、弱いところでは相対的に行政の役割が高まるというだけの話である。ところが今の日本の与党と世論は、こういう国民性を前提にして、それでもなお公務員を減らして行政を小さくしてしまうというのだから、破滅の道に向かっているとしか言いようがない。少し人生の道を踏み外して貧困に陥ったとしても、誰も手を差し伸べてくれなければ行政に頼ってもいけないというのだから。どうして国民はわざわざ苦しくなる道を進もうとしているのか、さっぱり理解できない。