昔のマルクス主義者と瓜二つ

 ベーシック・インカム論を語る人が支持できないのは、議論の内容そのものではなく(それも若干あるが)、日本の世論の違和感や抵抗感にちゃんと直面していない印象があることにある。一人の日本人として普通に考えても、こうした政策が世論に支持されるわけが有り得ないと思う。Yahooの調査なので割り引いて評価する必要はあるが、子ども手当てのようなごく小規模なベーシック・インカムですら、75%も反対している。*1

 ベーシック・インカム論支持者の議論を読んでいると、ベーシック・インカム論を理解している人同士の話だけでどんどん先に進んでしまって、それを実現するための最大の障壁になるはずの、世論の違和感・抵抗感が置いてきぼりになってしまっている。子ども手当てのような、EU圏で普通に採用されている政策ですらこれだけ反対が多いのに、どこの国でもやったことのない分配政策をまじめに議論をできる神経がよくわからない。

 むしろ、ベーシックインカム論者は、世論と遊離することによってむしろ自分ら正しさを確認し、知的優越感を得ているようなところがある。こういうところは、内輪の知識人だけでやたらに小難しい議論を展開して、一般世論と何の接点も持つことができなかった、またそれよしをしているようなところすらあった、昔のマルクス主義者と瓜二つである。