社民党のひどさは弁護しようがない

 普天間問題で、「社民党はよく筋を通した」みたいな言い方をする人がいるのだが、まったく冗談じゃないと思う。本当に社民党はどうしようもない政党だと痛感させられた。

 社民党が米軍基地を県外あるいはグアムに移転するために、これまで何らかの根回しや外交努力を水面下でしてきたのだろうか。ほとんど何もやっていないだろう。沖縄県民の反基地世論をそのまま代弁するだけで、それを現実化していくための政治的な努力を粘り強くやってきたのだろうか。もしやっていたのであれば、当然鳩山首相が今のように窮地に陥るはずもなく「さすがは社民党」と目を細めたはずだが、実際は「結局実現不可能なことばかり言って、この俺までだましやがった馬鹿左翼政党が」と、あきれかえっているのではないだろうか。

 社民党がこの問題に強硬に「筋を通している」のは、沖縄県民の反基地世論と、左翼系の学校教師や大学教授、一部の市民団体など、いわゆる「教条左翼」しか支持基盤はないことがあるのだろう。政治である限りそれは別に構わないが、社民党が政党としてやるべきことは、そうした支持者の主義主張をきちんと現実していく政治的な努力をしていくことにあるはずなのだが、今回の成り行きを見ていると、本当にまじめに努力していたのか疑問を持たずにはいられない。

 社民党は政党であり、しかも政権与党であった以上、こういう事態を防げなかった政治的な責任というものがある。かつての小泉政権の「構造改革」派にも、「抵抗勢力が」「官僚がまじめに仕事をしなかったら」とほざいて、自分たちの無能力を人のせいにして自己弁護している無責任な人たちがいるが、今の社民党も何の違いもない。社民党のひどさは弁護しようがない。

(追記)
 「筋を通す」というのは基本方針を変えないということであるはずで、個々の問題では是是非非で構わないというか、そうするしかない。政治なのだから当然である。本来なら、社民党は将来に向けての現実的な努力を継続していくべきで、今は沖縄県民を懸命に説得し、自らの不明と無力を率直に陳謝すべきだった。明らかに無理なものを意固地に貫き通すことが「筋を通す」ことなら、この世の中に筋の通ったことなど何一つない。

 普天間問題に限らず、今の民主党政権の問題は「脱官僚」の弊害かどうかは知らないが、「できる」ことと「できない」ことの境界線がまるでわかっていないことにある。一歩一歩足場を確かめながら着実に山の頂上を目指すべきなのに、「あれ、こっちにロープウェイなかったっけ?」と、途方に暮れている状態にある。そこで小沢や亀井のような政界の古狸が、「オレは昔通った道を知っている」と、肝心なところを全てかっさらっている状態にある。

 イギリスの労働党のように、何度も政権運営に失敗しながら20年以上かけて政権担当能力を身につけたような政党もあるが、それは政党の支持階層がきわめて安定していたからである。昔は小泉自民党に、前回は鳩山民主党に投票し、そして今は「失望した」「退陣すべき」などと言っている有権者が大多数の日本では、可能性はかぎりなくゼロだろう。

(さらに追記)
 「外交努力」という表現は確かに「二元外交」と誤解を招きやすいので撤回するが、言いたかったのは、長い長い野党時代に、いざという時に少なくとも話をつけられるような、鳩山首相が今回の窮地で活用できたような、外交知識や人的ネットワークを蓄えてきたのか、ということ。どう見ても、そういう努力を全くやってこなかった、としか言いようがない。討論番組を見てても、社民党外交問題を語ると、「外交通」「軍事通」が軽蔑した顔つきで鼻で笑うという風景は一向に変わっていない(実際素人目にも説得力がない)。「外務閣僚がいないんだから」という人もいるが、だったらこの問題では社民党は「素人」を自覚して一歩引くべきだったと思う。最終的に鳩山首相が悪いのは当然のこと。

(陳謝・コメントの御礼)
 単なる素人の放言で書いたつもりが、やたらに釣れるので大変戸惑っておりますが・・・。

 断わっておくと、個人的には心情というか方向性は、社民党とほとんどまったく同じです。だからこそというか、首相をサポートして一歩だが着実な前進を勝ち取ることに汗をかくのではなく、逆に追い込んで最悪の結果を導くことに加担し、最後には「筋を通した」と「いい格好」をしていることに、非常に腹立たしさを感じるわけです。

 軍事・外交・政局については何も知らない(というか大の苦手)ので、いただいたコメントに返答はできませんが・・・。ちゃんと外交の話は最低限勉強してから言及するようにします。すみません。