家計感覚の増税論

繰り返し書いてきたが、日本のサヨク政党が、非武装非同盟の安全保障談義で票が稼げなくなって以降、社会的負担をしてこなかった専業主婦または今や高齢者となった専業主婦の台所感覚という、消費税アレルギーを最大限に利用して勢力を維持してきた。短期的にそれは成功しても、長期的にそうした財政感覚というのは、やがては「入るを計りて出るを制す」という財政を家計に例える乱暴な財政談義に巻き込まれ、増税なき財政再建の願望に到達する。その結果、小泉純一郎みんなの党など小さな政府を掲げる新自由主義の勢力拡大の一助となっている。

http://kurokawashigeru.air-nifty.com/blog/2010/06/613-f07e.html

これにはまったくの同感だけど、「財政危機なんだから消費税増税」と言っている人たちも、「家計が苦しいからお小遣いは我慢しなさい」という「主婦感覚」の延長線上でしかないのではないだろうか。「財政を家計に例える乱暴な財政談義」は、増税論者の中にもはびこっているし、増税を支持する世論はなおさらそうである。

 税という仕組みを使って社会全体の負担やコストをうまく減らすというオーソドックスな社民派は、日本ではほぼ皆無であるように思われる。菅直人の依拠する「小野理論」は、あくまでマクロ経済学の観点に基づくもので、社会全体の負担やコストを減らすという視点は乏しい。

 経済学系の人には、良心的な人ほど反増税派が多いのだが、税の政治学的・社会学的側面を全く無視しているように思う(逆にいえば、無視しているという限定さえつけてくれれば説得力はある)。

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 とにかく一番腹が立つのは、少し前まで「無駄を徹底的に洗い流して」などと言っていた連中が、今になって増税を言い始めていること。子供手当なんかいらないから増税しろっていう最近の世論は、いったい何なのだろうか。財政危機なんだからしょうがない、我慢しろみたいな物言いこそが、私の嫌悪する官僚精神そのものなんだが・・・。

消費税引き上げ「必要」66%…読売世論調査
世論調査

http://www.yomiuri.co.jp/election/sangiin/2010/news1/20100613-OYT1T00676.htm

 読売新聞社が12〜13日に実施した参院選第1回継続全国世論調査で、財政再建社会保障制度を維持するために、消費税率の引き上げが必要だと思う人は66%で、「そうは思わない」29%を大きく上回った。

 支持政党別に見ると、「必要だ」との答えは民主支持層で70%、自民支持層で72%だった。消費税率引き上げを容認する意識に大きな違いは見られなかった。

 また、すべての年代で「必要だ」は過半数を占め、50歳代の70%が最も高く、最低の20歳代でも56%だった。男女別では男性の73%、女性の60%が「必要だ」と答えた。

(2010年6月14日09時04分 読売新聞)

子ども手当「満額なくてよい」72% 朝日新聞世論調査2010年6月14日10時13分http://www.asahi.com/politics/update/0613/TKY201006130310.html


. 朝日新聞社の12、13日の全国世論調査で、子ども手当の満額支給(月額2万6千円)を断念することへの賛否を尋ねたところ、賛成が72%を占め、反対は21%だった。

 子ども手当は今年度は月額1万3千円だが、民主党は昨年の衆院選マニフェストで来年度から2万6千円の支給を公約していた。しかし、ここにきて長妻昭厚生労働相菅直人首相が、財源確保の難しさを理由に満額支給断念の考えを相次いで明らかにした。

 賛成意見は男女や支持政党の違いを問わず圧倒的に多い。「マニフェストの政策は必ず実現すべきか」という別の質問でも「柔軟に見直してよい」が77%だった。