逆進的でも累進的でもどうでもいい

 消費税が逆進的だとか何だとか、つまらない批判が多すぎだと思う。高所得者の負担を増やすことに異論はないし、現行の財政再建主義的増税論も断固反対だが、今の反消費税増税論者の議論もおよそ納得できるものではない。

 私に言わせれば、逆進的であるというのなら、低所得者社会保障で分配されるべき正当性がさらに高まるという風にも考えられるのだが、どうなのだろうか。累進的な所得税に対して、不満を持った新中間層が「福祉国家」を激しく攻撃するようになり、(低所得であるために所得税を払わないが福祉サービスは享受する)外国人労働者にたいする排外主義の温床にもなった、という欧米先進国が経験してきた過去の歴史をどう思っているのだろうか。

 経済学系の人の税に関する議論は、根本的に間違っている。逆進的であるとか、いや実は累進的で問題はないのだとか、私にとってはどうでもいい、本当にくだらない無意味な議論でしかない。消費税が徴収の効率性が高く、全国民が等しく負担するので政治的な正当性も確保しやすいという、そのことだけで十分である。そんなことよりも、集めた税でどのようなセーフティネットを張るのかということに、全力で頭を使うべきである。

 そんなことに実のところあまり興味もないくせに、「弱者に厳しい消費税」などと一見社会的弱者に優そうな顔をしながら、そのための分配の原資が一向に増えず、一部の個人や家族に極端に負担が偏っている現状を、結果的に肯定してしまうことに何の矛盾も感じていないのだから、本当に腹が立ってくる。

 ちなみに、「今の政府は信用できない」という馬鹿みたいな批判が相変わらずあるんだが、信用できるとか出来ないとか、好きとか嫌いとか、そういう問題じゃないだろうに・・・。