国民のほうが財政危機をわかっている??

 先日、ある「政治評論家」が消費税増税に賛成する世論を見て、「国民のほうが財政の危機的状況をよくわかっている。バラマキ政策に乗るほど国民はバカではない」と論評していたが、聞いてて非常に腹が立ってきた。

 もし世論が「財政危機だからしょうがない、我慢しきゃ」という考えで増税に賛成しているとしたら、それは徹頭徹尾間違っていると言わなければならない。私は消費税増税論者だが、増税で生活が苦しくなるのは嫌だ、小売業の経営の苦しさを知らないのか、という草の根の声はもっと上がってもいいと思う。そういう声が、実際に生活の苦しさを緩和するような税制改革・再分配政策を導くのであって、現在のような「財政危機だからしょうがない」的な世論のなかで増税が行われれば、国民の負担は激増して経済を大きく傷つけざるを得なくなる。

 とにかく、「国民のほうが財政危機をわかっている」などという言い方がよくなされるのだが、本当にやめてほしいと思う。私に言わせれば、これこそ国民を心底馬鹿にした言い方にほかならない。