何を考えているかがよくわからない

小野善康氏がネット上の経済論壇でボロクソに叩かれているけど、小野氏の経済理論がそのまま明日にでも実行されるというのならともかく、そんなことはまずない(有り得ない)し、2年間は消費税が上がらないことは確実だし、「今は供給側ではなく需要増が大事。若い世代の雇用を増やせ」と言う最低限のレベルで緩く支持したっていいんじゃないだろうか。

 小泉政権下の経済政策を批判しながら、その純粋後継政党である「みんなの党」を支持したりとか、ここらへんの経済学系の人のテンションはよくわからない。そもそも「みんなの党」って、企業経営の比喩で国家財政を語るという経済学的にナンセンスな(はずの)論法を多用するし、「アジェンダ」を読むと常日頃批判している「産業政策」そのものとしか思えないのだが*1

 矛盾しているというんじゃなくて、何を考えているかがよくわからない。まあ、こちらが不勉強なだけなのですがね・・・。

(追記 7/12)

 もともと「リフレ派」と呼ばれている人たちに共感したのは、それが「市場競争のなかで厳しく鍛え抜かなければ日本は生き残れない!」という考え方をしなくても経済成長が実現可能だというところにあったので、だから「リフレ派」の人たちが「みんなの党」にそこまでの強烈な拒否反応を抱かず一票を投じたとしたら、やはり共闘不可能だと思う。「みんなの党」の人たちが発するような(それ自体は正論なので反論できない)言葉で、どれだけの若年弱者が苦しめられてきたか、深く傷つけられてきたかを思うと、そこに経済学的な正論が混じっていようとも、とても支持する気にはなれない。あと、あの官僚陰謀論を異常と思っていないとしたら、やはりついていけない。

(さらに追記)

 どうして「正しい経済政策」を語っていると、ほかの事はみんな許せちゃう(あるいは好意的に解釈する)んだろうかなあ。ここらへんのテンションは本当に理解できない。よく切れる刃物を見分ける能力は重要だとしても、その刃物をどんな目的で用いるのかのほうが、政治にとってはるかに重要だろう。「みんなの党」の物言いを国民が異常に感じない(どころか「筋が通っている」などと感じている)という*2、今の日本の雰囲気は正直怖い。

(追記7/13)
 
 そりゃ「みんなの党」に投票した人で、「インフレ目標」が決め手になったなんて、どんなに甘く見積もっても10人に1人もいないだろう。「小さな政府」で支持した人も、5人に1人いればいいほうだろう。彼らが支持されたのは、官僚・公務員・労組・日教組などの、国民的に嫌われている「既得権益層」に対して最も歯切れよく攻撃していたという、ただそれだけの話である。ブレーンの高橋洋一氏も、一般には経済学ではなく(やっぱり経済の説明に関してはずば抜けて説得力がある)、あの官僚陰謀論と既得権批判が受けているわけで。まあ、それ以前に政策理念ではなく政策手段で支持する、というのが理解不可能なんだけれども(というか、手段が政治的な評価軸になることを「官僚政治」と言うのだが)。

*1:「産業構造を従来型から高付加価値型へ転換。ヒト、モノといった生産要素を、予算、税制などでバイオ、エレクトロニクス、新素材、環境、エネルギー等の将来成長分野へシフト。」「一方で、地域密着型(地場)産業(医療・介護、福祉、子育て、家事支援、教育、農業等)を規制改革、税制などで創出。また、地域を支える中小企業の活性化、競争力向上を支援するため、「中小企業憲章」及びそれに基づく「中小企業条例」を制定。 」http://www.your-party.jp/policy/manifest.html

*2:その異常さを経済学的正論で打ち消してしまう人も含めて。