さっさと破綻してもらったほうがいい

 消費税増税を世論の逆風の中で何年も前から言い続けている人はまだいいとして、本当に反吐が出るのは、ついこの間まで「徹底的に無駄を削らなければ国民は納得しない」と言っていた連中である。こういう連中は、「利権の構造」をテレビで事細かに解説して政府への不信感と増税への拒否感をあおってきたにも関わらず、今になって消費税増税に反対している政党を、「非現実的」と小馬鹿にするような態度をとっている。

 そもそも、年金や医療の財政が大変だと騒いでいるが、いったい誰の責任なのか。若い世代に年金や保険料を安定的に支払ってもらうように雇用という場を積極的に与えてこなかったのは、いったい誰なのか。誤解を恐れずに言えば、ヨーロッパがやってきたように、税を通じて公共部門の雇用を増やすというのも一つの選択肢だったはずだが、そのための社会的な負担を嫌がり、世論の嫌税感情におもねってきたのは、いったいどこのどいつなのか。少なくとも、雇用の門戸を縮小し続けてきた企業に、そして公務員を減らせと大合唱してきた政治家やジャーナリストに、「消費税で財政再建」などと断じて言われたくない。

 「財政破綻」という言葉で私たちを恫喝しないでほしい。そんなに国を憂えているのなら、自分の給料を全部国に差し出せばいいではないか。偽善はたいがいにしろと言いたい。国民を幸福にするつもりがない政府など、さっさと破綻してもらったほうがいい。