ねじれた構造

渡辺氏トップ、首相は2位=自民は小泉氏が上位−次期首相候補
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&rel=j7&k=2010072300643

 時事通信社が16〜19日に実施した世論調査で「次期首相にふさわしい人物」を聞いたところ、みんなの党渡辺喜美代表が11.4%で前回4月の調査の2位からトップに浮上した。菅直人首相は2位の10.8%。前回21.5%で1位だった新党改革舛添要一代表は8.7%の3位に転落した。調査結果は、参院選で躍進したみんなの党と渡辺氏への期待を反映したものとみられる。
 民主党では、前原誠司国土交通相(7.9%)と岡田克也外相(6.6%)の代表経験者が菅首相に続き、小沢一郎前幹事長は2.7%。6月の代表選で首相と争った樽床伸二国対委員長は0.2%だった。
 自民党では小泉進次郎衆院議員が5.2%で首位。谷垣禎一総裁は3.4%にとどまり、石破茂政調会長の4.3%にも及ばなかった。参院選で勝利した同党だが、小泉氏の人気が谷垣氏を上回った。
 調査は全国の成人男女2000人を対象に個別面接方式で実施。有効回収率は67.9%だった。

 小泉・竹中の構造改革の頃というのは、既得権批判のようなものもあるにはあったが、「自由な社会」「選択の多様性」という前向きなものが一応語られてはいた(本気だったかどうかは怪しいものだとしても)。ところが「みんなの党」の語り口は、「国会議員や官僚が積極的に自ら血を流せ」「税金の無駄遣いを徹底的に根絶しろ」ということがほとんど中心になっている。もちろん「景気回復」や「経済成長」についても多く語っているが、印象としては明らかに後景に引いているように思う。

 今の日本が、この党が代表しようとしている若手経済エリートに寛容な社会になっているとはとても思えないし、経済学系の人に熱烈に支持されている金融政策の理解に至っては、それこそこの党の支持者のなかで100人に1人いればいいほうだろう*1。むしろ渡辺喜美が世間に向けて語っていることを聞くと、「最近の若い連中は『草食化』などと頼りがない。俺らの若い頃のような、もっと元気な若者はいないのか!」という、年長世代の「若者バッシング」と結果的に共振しているように感じる。

 これは全くの仮説だが、堀紘一氏のような人物の主張に共感する人と、ホリエモンに共感するような人とが、同時に「みんな党」のような政治勢力への支持に傾いているような、ねじれた構造があるような気がする。おそらくは見当違いかもしれないし、そうであってほしいことを願うばかりである。

*1:むしろ、理解が広がれば支持者が減ることは間違いないと思う。 (追記)サンプルはごくごく少数だが、ツイッターでこれに関する調査が行われていたhttp://tsunotter.com/936。それによると、「みんなの党を支持するが日銀法改正には反対」という意見が多数派で、金融政策への理解度が最も高いであろうと思われる(というか主戦場のはずの)媒体でもこの結果とは、さすがに「リフレ派」の人たちに同情したくなる。