政治家のリーダーシップ

 最近、政治家に対して投げかけられる批判として、「リーダーシップがない」「頼りがない」というものが多くなっている。

 しかし、それ自体はその通りだとして、そんなことを言ってもしょうがないのではないか、という気持ちが自分の中にはある。20年以上政治の世界に身を置き、幾度の選挙を潜り抜け、党内の権力闘争のなかで代表の座を勝ち取った人が「頼りがない」というのであれば、もうそれは日本の政治風土の問題として受け入れるしかないだろうと思う。

 それにしても、日本のマスメディアと世論は、ある政治家や政党に対して、権力の座を取るまでは妙にチヤホヤし、権力を握ったらスキャンダルまみれにする傾向がある。外国を見ると逆で、選挙期間は唖然とするくらいのスキャンダル合戦が繰り広げられるが、一度政権を獲得するとスキャンダルに対して意外なほど寛容になる。

 考えてみれば当たり前で、本当に指導者にふさわしいのかどうか、という段階では過剰に厳しくし、一度政権を任せたら、あとは、そんなつまらないことよりも政策のために時間を割いてくれ、というわけである。しかし、日本の政治では、政権与党が「政治と金」の問題への弁明で、多くの時間を費やすということが日常的な風景になっている。そしてテレビの政治評論家も「あれでは国民は納得しませんよ」などと批判し、実際にそれが内閣支持率や選挙結果に直結するようになる*1。政治家もそれに右往左往している。当然、腰を落ち着けて経済政策や外交政策に取り組めるわけもない。

 どうも日本のマスメディアや世論は、政治家に過剰に「リーダーシップ」を求めながら、その育成を妨げるようなことばかりしているように思う。逆に、官僚・公務員など、わかりやすい「敵」を設定してひたすら攻撃するような政治手法が、「リーダーシップがある」かのような勘違いが横行している。

民主党代表選:菅首相再選 「リーダーシップを」期待の声 /石川
http://mainichi.jp/area/ishikawa/news/20100915ddlk17010505000c.html


 ◇「景気対策第一に」
 党員・サポーターの圧倒的な支持を得て14日の民主党代表選再選を果たした菅直人首相。県内の一般有権者や県政界からは、早急な景気対策などを求める厳しい意見が相次いだ。円高による景気失速が懸念される中、地方からも首相のリーダーシップに期待する声が目立った。【まとめ・近藤希実】

 ◆県内議員は「小沢」支持

 県内の地方議員の過半数小沢一郎氏を支持。衆院選小選挙区ごとに集計する党員票も全3選挙区で小沢氏の勝利だったという。

 小沢氏支持を掲げた新進石川の宇野邦夫幹事長は「あくまで党内部の戦い」。懸念される党分裂には「それでは本当に『壊し屋』だ。国民が離れていく自覚があれば分裂しないはず」と淡々と話した。

 ◆市民「よかった」

 一般の声は小沢氏の「剛腕」ぶりへの批判と、菅首相再選を歓迎する声が多かった。

 民主党支持の七尾市の農業の女性(80)は小沢氏の政治とカネの問題をきらい、菅首相再選で「よかった」と話した。

 民主党支持者でないという市民も関心は高かった。小泉政権時代の自民党が理想という金沢市の女子大学生(19)は「小沢氏の『裏で動く』やり方が好きになれない」とバッサリ。菅首相には、同市の無職男性(26)は「マニフェストの実現を。言ったことに責任を持ってほしい」。同市の無職男性(88)は「国の方向性を打ち出してほしい」。野々市町の男性調理師(40)は「客が来ないのを肌で感じる。景気対策を第一に」と話した。

 一方、「政策をはっきり打ち出し引っ張っていく小沢氏に期待した」と言う中能登町の男性会社員(51)は菅首相に「国をどうするのかはっきり指針を示して」と話す。

 ◆知事「スピード感を」

 谷本正憲知事は代表選で「14日間の政治空白が生じた」と指摘。「大胆な経済、雇用対策をスピード感を持って打ち出して」と注文をつけた。

*1:そもそも、納得できるような説明が有り得ないから「政治と金」の問題になっているわけである。