自分が甘いのだろうか

 菅直人の評価について、思想的・政治的な立ち位置という以前に、その人の関心領域・専門分野によって分かれているような気がする。経済学系の人や軍事・外交系の人には、ほとんど右から左まで「馬鹿」「無能」扱いだが、政治学系・社会学系の人には妙に好意的な評価が多い。「新自由主義」か「社会民主主義」かという対立軸による評価もないわけではないが、むしろ自らの専門分野による評価の分裂のほうが大きいように思う。「いま重要なのは規制緩和よりも需要と雇用の創出」という経済学系の人の多くは、同じく需要と雇用を重視しているはずの菅直人を全く評価していない。ネット上では、、政治学系・社会学系よりも経済学系や軍事・外交系の人の割合が多いので、世論よりも菅直人に対する評価は低い傾向がある(というかボロクソである)。

 政治学系・社会学系の人の妙な期待も気持ち悪いところがあるが、経済学系の人や軍事・外交系の自らの専門知識による批判も素直には頷けない*1。専門的な話題については、政治家がそれ以外のオプションがあり得ないという状況を、専門家自身でつくってもらうしかないからである。「企業が成長してこその雇用」という俗説とか、「増税の前に議員・官僚が血を流せ」的な精神論が横行し、また世論的な支持も得られるなかで、「雇用」の重要性を連呼したというだけでも相対的に支持してもいいように個人的には思うのだが、それとも、自分が甘いのだろうか。

*1:外交については客観的な情報がなく憶測で語るしかないので、素人は評価のしようがない。