被災地支援の制度をもっと宣伝すべき

渦中のボランティア休暇はダメ 橋下知事「有給なら民間より厚遇」
2011.5.10 12:45



 大阪府が昨年4月に廃止したものの、東日本大震災を受け、庁内で制度復活を求める声が上がっていた府職員のボランティア特別休暇について、橋下徹知事は10日、「行政側で詰めてもらったが、ボランティアのほとんどは無給。公務員だけが有給の特別休暇をもらっていくのでは現地で一致団結できない」と述べ、制度は復活させず、職員には通常の年休を利用するよう求めた。


 ボランティア特別休暇は阪神大震災後に国家公務員に導入され、大阪府など全国の多くの自治体でも導入。府ではボランティア活動のために年間5日まで、通常の年休とは別枠で有給休暇を取ることができた。


 橋下知事は「社会をリードしようと、労働条件が民間より厚遇になるような制度を作っても企業はついてこない」と指摘。制度について「国民感覚から乖離(かいり)している」とも述べた


http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110510/lcl11051012470002-n1.htm


 CFW以外にもっと活用されるべき制度として、ボランティア特別休暇制度がある。民間企業では、生産が落ち込んで仕事が減ったこともあり、自宅待機よりはと奨励しているところが結構あるようだ。

 記事のとおり、大阪府橋下知事が何故かこの制度に強硬に反対しているのだが*1、自分はこのボランティア特別休暇制度の活用を、行政が先頭に立って奨励すべきだと考える。人員不足で悩む被災地自治体としても、行政組織の仕組みを理解している人にどんどん来てもらったほうが、色々と助かるに違いない。もともと、日本の有給の日数や消化率が諸外国に比べて非常に低いので*2、既存の有給の消化を奨励するだけでも随分と違うはずである。

 当たり前だが、被災地の自治体や被災者からすれば、可能な限り社会の第一線で活躍している人が、ボランティアに参加してもらうに越したことはない*3。ボランティア特別休暇制度は、それを大きく可能にする制度である。CFWなどとは異なり、基本的に既存の制度の枠内で、新たに財源を投入する必要も全くなく、やる気になれば今すぐできるものである。そして、職種でいえば自治体職員である公務員がより多く参加してもらったほうが有難いはずである。

 自分も詳しいわけではないので発言に躊躇してきたが、義捐金や身一つでボランティアに参加するだけでけではなく、CFWでも、ボランティア特別休暇制度でも、あるいはふるさと納税などでも、被災地支援のための使える制度を、行政やマスメディアはもっともっと大々的に宣伝していくべきだろう。もちろん、関心を有している人にとってはこれらの制度は周知のことだろうが、特段に意識していない人にも自然と情報が入るような宣伝の仕方をすべきである。

*1:もちろん知事が全面的に間違いで、民間で活用しているところは既にたくさんある。それにすでに指摘されているように、「有給」とボランティアとは別に矛盾するものではない。

*2:http://www.kokudokeikaku.go.jp/share/doc_pdf/2368.pdf

*3:ある程度事態が落ち着いたことを前提として、物見遊山のボランティアも自分は全く否定しない。一部のまじめな人の中には、ボランティアに厳しい要求をしている人もいるが、それは危険な考え方だと思う。