自分の肉を食らって生き延びようとするかのようなやり方

事業仕分け第3弾前半戦 ジョブ・カード事業廃止など制度自体のあり方見直す判定相次ぐ http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00186871.html 政府の行政刷新会議による事業仕分け第3弾の前半戦が、国の特別会計を対象に始まり、「貿易再保険…

過剰に年金問題に関心を持ち過ぎ

これも何度も書いていることだけど、年金問題を年金の細かな仕組みをいじくって解決してもさほど意味がない。これは強調してもし過ぎることはない。 年金制度の健全さや持続可能性は、経済成長と雇用水準、出生率などなどに全面的に依存している。今の年金制…

同じことしか書いていないが

いつも同じことしか書いていないが、国民の基本的生存に関する部分は政府が引き受けるべきであり、精神的な満足や快楽追及に関する部分は民間にゆだねるべきである。ところが日本では、民間に福祉を委ねておきながら「貧しい人たちを食い物にしている」と非…

前々回の追記

前々回の追記として。 少なくとも、現在の失業・過労・貧困・貧困ビジネス・介護心中・孤独死などなどの問題をどう解決するかという視点に立てば、公務員を減らすべきだなどという結論には絶対にならないはず、というのが今の自分の考えである。 繰り返すよ…

自分が甘いのだろうか

菅直人の評価について、思想的・政治的な立ち位置という以前に、その人の関心領域・専門分野によって分かれているような気がする。経済学系の人や軍事・外交系の人には、ほとんど右から左まで「馬鹿」「無能」扱いだが、政治学系・社会学系の人には妙に好意…

どうなったらひっくり返るのか

図録▽OECD諸国の給与水準 社会実情データ図録 はてなブックマークhttp://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/5193a.html 公務員に関するデータを見せると、やはりというか、「でも一人当たりが」「独法などが」「天下りの問題が」などと、屁理屈をつけて反発する人…

ますますわからなくなってくる

「腐敗認識指数」は、以前も存在は知っていたが、どうも怪しい感じで、あまり興味をもてなかった。しかし、あらためて眺めてみると、データが必ずしも客観的とはいえないことを踏まえれば、なかなか面白いような気がしてきた。 特に目に付くのは、人口規模と…

使えるものは使えばいいというだけの話

ときどき、「消費税増税はショックで自殺者を出す」みたいな意見を見るのだが、それは金融政策も同じではないだろうか。仕事の激増に対して賃金上げや人員増が追いつかず、少なくとも短期的には過労死・過労自殺を増やす可能性が高いし*1、少ない年金と預金…

福祉と経済成長

福祉は経済成長を阻害するかのような一部の暴論はともかく、「経済成長があってこその福祉」という言い方はより一般的にあるが、いずれにしても福祉と経済成長をトレードオフにしている点で適切なものではない。 失業保険や職業訓練などの現役労働者向けの福…

いまだによく理解できていない

この数年「地方分権」や「地域主権」の話が盛んだが、自分はその国が地方分権的な体制を選択するかどうかは、その国の「国情」によるとしか言いようがないと考えている。ドイツや北欧、アメリカなどが地方分権的な体制であるのは、これらの国の歴史的な成り…

煙草を吸う人には優しくするべき

駆け込み需要、最終盤=たばこ値上げまで1週間―コンビニなど 2010年9月23日(木)16:03 http://news.goo.ne.jp/article/jiji/business/jiji-100923X554.html 10月1日のたばこ増税が1週間後に迫った。コンビニエンスストアなどでは駆け込み需要への対応…

全共闘とブラック企業

全共闘、港湾労働、そして牛丼 小川社長インタビュー[1]発想の原点「資本主義のもとで貧困をなくす」 http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20100917/216295/ 前にネット上で批判された「餃子の王将」の研修風景が、全共闘の「自己批判」大会と…

ベーシック・インカム論の堕落

最近ベーシック・インカム(BI)の議論を目にすることが多くなったが、それ自体はいいことではあると思う一方で、びっくりするのは普通の「政策提言」として語る人が増え始めたことである。 そもそも自分が知り始めた頃のBIの議論の主題は、「人は生きて…

政治家のリーダーシップ

最近、政治家に対して投げかけられる批判として、「リーダーシップがない」「頼りがない」というものが多くなっている。 しかし、それ自体はその通りだとして、そんなことを言ってもしょうがないのではないか、という気持ちが自分の中にはある。20年以上政治…

「再分配のパラドクス」について

財政学者の神野直彦氏の「再分配のパラドクス」について、分かりやすい解説を見つけたので備忘録として引用しておく。 再分配のパラドックス ― 博多連々(はかたつれづれ) http://ryuseisya.cocolog-nifty.com/hakata/2010/08/post-da12.html 本当に支援が…

じゃあ、お前はできるのか

今の民主党代表選とは直接関係がないが、色々政治家に対する批判を聞いてて思うのは、「じゃあ、お前はできるのか」ということを、もう少し反省してもいいのではないか、ということである。 もちろん、政治家は批判されるのも仕事の一つではあろうが、批判す…

もっと割り切った態度がとれないものか

よく左派系の社会学者や政治学者は、市場の役割を重視する経済学者を「市場がすべてを解決してくれると信じている」「市場原理主義」と批判するが、言うまでもなくこれは正当な批判ではない。経済学者は市場が万能薬だと言っているのではなく、財の分配を市…

大異を捨てて小同につく

税制とか金融政策とかのテーマで、政治家が専門家を交えながら超党派で研究し、合意を形成するというのは必要だとして、消費税や金融政策が政治的な争点になるというのは、明らかに健全ではない。 消費税増税に賛成する人といっても、法人税減税の代替として…

単純な所得再分配は反福祉国家的

ミネラルウォーターと保育園 鈴木亘http://synodos.livedoor.biz/archives/1498293.html 鈴木氏のような立論に対してよく感じる違和感の一つは、貧困者や身障者への対策の話になると、「それは別の対応をすればいい」「いくらでも保障の方法がある」という言…

「新自由主義」について

高橋洋一氏のつぶやき文章をたまたま見つけたので、これをネタに「新自由主義」について。 よく誤解されるけど新自由主義者って。私は、給付付き税額控除・所得税ベースで所得再分配(最高税率上げ+相続税強化)を政策としてあげているから、これらをいうと…

持続不可能な社会保障

日銀がデフレ脱出に積極的ではない理由 ― 常夏島日記http://d.hatena.ne.jp/potato_gnocchi/20100814/p1 この記事に関連して、金融政策論争はさておき、社会保障制度を持続可能にする「ボーリングの一番ピン」が、若い世代向けの教育、雇用保障、家族支援に…

データと実感の間にあるもの

前回の補足。 前回のエントリの趣旨は、国際比較で公務員の数が多いとか少ないとか、給与水準が高いとか低いとか、そういう類の議論そのものに疑問を呈したことにある。むしろ問題関心は、そもそもデータとしては明白なまでの「小さな政府」なのに、どうして…

データ的には「小さな政府」という謎

OECD諸国の公務員数 ― 社会実情データ図録 http://www2.ttcn.ne.jp/~honkawa/5192.html 日本はここで掲げられたOECD26カ国の中で最も少ない5.3%である(働くものの5.3%が公務員)。OECD26カ国の平均は14.3%であるので、日本は先進国平均の4割以下の水準の…

不勉強なだけかもしれないが

金融政策も再分配政策の一種だという主張をどこかで見かけたのだが、さすがに驚いた。自分の乏しい経済学の理解では、金融政策によって起こるのは、預金や資産を溜め込んでいる人から、どんどんお金を遣って投資や消費をしたいという人にお金が流れることで…

不明高齢者問題の背景

「でたらめ長寿国」韓国メディア報道 2010年8月5日(木)08:00 http://news.goo.ne.jp/article/sankei/nation/snk20100805109.html 【ソウル=水沼啓子】日本で100歳以上の所在不明が相次いでいる問題について、韓国メディアは「でたらめ長寿国」などと相…

「かわいそう」という感情を抑えきれない

「不明100歳超」拡大、把握は困難? ずさん? http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/crime/423861/ 役所が「存命」としながら、実は長期にわたって所在不明となっている100歳以上の高齢者が全国で相次いで確認されている。東京都で113歳の…

税は信頼の問題

増税を通じた再分配が可能になるかどうかは、行政がそれなりに公正に分配してくれるかどうか、そして分配された金銭や財が見知らぬ人の手に渡って、それがどのように使われようが気にしないという、「信頼」の問題が全てである。ちなみに、ここでいう「信頼…

ねじれた構造

渡辺氏トップ、首相は2位=自民は小泉氏が上位−次期首相候補 http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&rel=j7&k=2010072300643 時事通信社が16〜19日に実施した世論調査で「次期首相にふさわしい人物」を聞いたところ、みんなの党の渡辺喜美代表が11.4%…

年長世代の「小さな政府」志向

橋下大阪府知事にせよ「みんなの党」にせよ、近年支持が高い政治家や政党に共通しているのは、ラディカルな「小さな政府」路線であることである。「小さな政府」を掲げる政治家や政党がいること自体は、むしろ必要かつ重要なことだが、気になるのは彼らが支…

「大きな政府」なんてできるわけない?

なんか、日本で北欧型の「大きな政府」なんてできるわけない、みたいな批判が相変わらずある。しかし、やたらにフィンランドやスウェーデンを賞賛する人(あるいは無意味に批判したがる人)もいないわけではないけど*1、まあ現実的に思考している福祉の専門…